太陽魔術                                                                               

至宝わゐうゑを図譜(その1)
 <コメント>
父の性格を物語るエピソードから始まっています。
本題では、生き物はすべて9心型の組合せから出来ているということを述べています。
父の言っていることを図で表してみました。
猫はこんなふうになりました。


 <見知らぬ少女に一宿一飯>
あかぎれの手をして,ずんぐりした太っちょの少女が、短い午后の陽ざしのなかを男の家にはいった。
「休ませてください。これから八キロほどの山奥のほうへ行くんだけど、室蘭からあるいてきたから、つかれちゃったワ」
と、ギョロリ目玉をしてニヤリとほほゑんでみせた。
「ああ.いいヨ.あがれ、あがれ」
「主人に休暇もらったから、姉の家さ行くのヨ」
「これから二里ぢや、夜中になるゾ、俺のとこへ泊れヨ、泊りなさい」と.男は.相手が返事もしないうちに、うなづいて一人できめて、腰をすゑさせてしまふ。
翌朝、少女は自分のフトソをそそくさとかたづけて.モリモリめしをくってから、あまりしゃべりもせずに、あっけなく出ていった。
街からの噂をきかされたのは昼すぎだ。
「わるいことをしてにげてきた女中がゐるそうだヨ」
「アレ、あの女だナ」
家の者が.少女のフトンをあけてみて大きい声をあげてゐる。
寝小便が二枚をとほしてあるし、おまけに、シラミがソヨソヨとあるいてゐるとさわぐ。
男は.家族にあいそつかされ、からかはれて、天井をみつめうすら笑ひをし、こともなげの心をよそほふのに苦労をする。ゴロリとねころんで、「しかし,あの女もあはれなものだナ」と、ヤツパリ同情をしてゐる。

―――― 俺は、すこしかはってゐるのかナ。
この男だから、このような神話がきこえたのかもしれない。
その神話をつぎつぎに分けてひろげて、つきるところをしらずにすすめて行くのだ。

<生物は9心型の組合せから出来ている>

「声は躰からでますネ。感情も躰からでるのでし、声の感情も躰の構造につながってゐる、とみるほかはないのぢゃないですかナ」

部屋に猫がゐますヨ。
猫の頭のほうに、出発するア行の声があって、をっぽのほうに腰をすゑるワ行の整理心の声があるとみえますヨ。

花の鉢があるでしヨ。
葉先や枝先のほうに、発出して行くア行の声があって、根元のほうに、全体をそこにまとめる、ワ行W整理心型の声があるとみえますヨ。
枯れるときは、たいてい、いちばんあとに根本のほうがのこるぢゃないですかネ。己にかへるW整理心ワ行の声が、根元のほうにあるのぢゃないでしょうかネ」

もういちど、猫をみましョう。

長いの形がありますョ。
毛のように。背中の線のように。これは、つながる連絡心型のかたちだとみるのです。
これが、ラ行の声をさけぶとみるのですヨ。

の形がありますヨ。
ホラ、目玉ネ。目は前のものを写すでしょう。
まへのものと共存する、と、おもふのですョ。
この、をつくる心型が、サ行の声をさけぶとしてみますョ。

の形のところがありますネ。
爪先とか牙先のようにネ。
形は進む心の形とみますョ。これが。夕行の声をだすとしました。

の形もありますヨ。
怒る顔のとき型にもみえるでしョ。
怒って肩をいからしたときにも、型の心をあらはすとおもふのです。
これが、マ行の声をだすとしてみたのです。

ふくれるの形は、腹がふくれるとか、口をおほきくあけるとか、のところにみえるでしョ。
この、ふくれる拡心型が、ハ行の声をだすとしてきくのです。

内をかかへるの形は、中をかかへる皮のかたちにも、交配するときにまはす腕のかたちにも見えるでしョ。
この集抱心型がヤ行の声をだすとしてききました。

の形はネ、耳のあな、口のなか、にあるとみて、受けいれる心の形としましたョ。
この、の心型が、力行の声をだすとみたのです。

口角や眼尻のほうに.の形がありますヨ。
指がわかれてゐたり股がわかれてゐたり、この.の分ける心の形が、ナ行の声をだすとしてきいたのですネ。

をつぽの先のほうとか、肛門のしぼりのところに、そこでまとめる整理心型があるとみえるのですョ。
これがワ行の声につながるとして見たのです。

猫の躰の内部も、この九つの心の形でくみあはせられてあるとおもひますョ。
この九つの心型にはそれぞれ、光りとゆふか色とゆふか、生きた光があるとみるのですョ。
その光りが、ア行の、発出する心の声をだすとみたのです」

草花をみましょうヵ。

カ行をだす心型ですョ。
の形のところがあるでしょう。
蕾の下部のあたり、実の袋のまはり、に.の形をした。受け入れる心の形ですョ。

サ行をだす心型はネ。
種のまはり、茎のまはり、のように、の形としましたョ。
基本の形なのですヨ。
がいちばん小さい形で、これから△や囗がでてくるとみえたのです。
タ行の声をだす、の心型はネ。
葉の先や蕾の先端やトゲの先や、進む心の形とみるのですネ。

ナ行の声をききますか。
の形ですヨ。
枝の分れや、葉や、はなびら、やの、分れとか、ギザギザのきざみの形ですネ。
分析する心。分けてはいる心の形とみますョ。

ハ行をだす心型はネ。
ふくれるの形だから、葉のふちのひろがり、蕾のふくらみ、枝葉のひろがり、ですネ。
ひろがる、ふくれる、中心をはなれて八方へひらく心の形ですョ。

マ行の声はネ。
中を守る心型だけど、種をつつむ殼などは、わかりやすいが、莖にも実にも、の心がまはりをかこむ、とおもふのですョ。

ヤ行の声は、ふくらむ心型といっしょになってゐるのですョ。
ふくらむときは。中をかかヘて、の心型がはたらいてゐるでしョ。
皮も内を抱へるし、花のうてなも中を守るしネ。
実をつつむ莢などは、よく見えるでしョ。

ラ行をだす心型はネ。これは、の形だから、莖の長さ、スジの長さ、枝の長さ、などで。すぐ見えますネ。

ワ行の声はネ。
花のしぼみや、枯れ葉をおとすところに、あるとしますョ。
整理する心型ですからネ。

ア行の心の形はネ、九つの心型のあらはれには、その性質の光りがあるとみて、その光りの色の声とみるのです。
そして、九心型がくみあって一つの花をまとめてゐるし、九心型がくみあって一つの実をまとめてゐるし、と、おもふのですネ」
 
                                    Next   
inserted by FC2 system