太陽魔術                                                                               

かほ(顔)とハ行
 <コメント>
拡大心型の音はハ、ヒ、フ、へ、ホ。
ハル(春)、ハナ(花)、ヒ(火)、フサ(房)、ヘ(屁)、ホホ(頬)などハ行の音を含む言葉には広がりや膨らみを表すものが多いような気がします。
これらの言葉であれば、私も素直にそうかと思うのですが、父はこじつけととられるような言葉にもあえて挑戦しているようです。



 
神話では、太古のはじめに、生命光体が地界へきて、心をひろげて行く、願ひをひろげて行くときは、の心の形になッたとした。
やがて人の躰のうへにこの心型は。皮膜がひろがる、瞼をひらく、唇がひろがる、性器がふくれる、指をひろげる、などの作用のところにあらはれた。
この、ひろがる心型が声をだしたら(男は、ハの字.Hの字、ホの字、Pの宇、などに、ひろがる感情をかんがへてもみたが、しばらくかかッて、拡大心型は、ハヒフヘホHBPVF系統の声をだすとしてきいた)だから、ハ行系の声には「ひらいて行く、ふくれて行くざらはれて行く、中心から去る、離れる、刻々にかははッて行く、表面化をつづける、全体的にひらいて行く、無常感の」の感情が基本的にはあろうとなってくる。
をあはせた顔型の謡曲の先生は、太って、あぐらをかいて袴をつけてゐて「君は死んだとゆふうわさだったソ」
と男にきかせる。

男は、骨と皮ばかりになってねてゐた病床をフトおもひうかべたが、あかるい太陽のしたへはひでてきたものサと、わらひにながしてからいつのまにか自分の発表だ。
「ここに物があると、それをとるのに手をひろげて行くだろ。
たべものヘ口をひろげるだろ。
人には、この、ひろげて行く心、ひらいて行く心がある。

僕は、心には体があるとおもふョ。
この、ひろがる心は、池に石をなげたときの波紋のような形になるとみたヨ。
この、心型がネ。声をだしたら、ハヒフヘホをさけぶとしてみたョ。
土から芽がでてくる。
あれは、あらはれてくる、だんだんにひらいてくる、とみるとネ。
そこに、ひろがるハ行の感情がうごくとみるとサ。
ハ行の字を、「あらはれる心の字」とみると、芽が「かほ」をだした、と書くぢゃないか。
この顔サ、僕らのこの顔サ、「かほ」は、あらはすもの、ぢゃないのかナ。
「かほ」の字をネ「(カ)くる、(ホ)あらはれて」とよめたのだヨ。
「あいつは、俺のところへ「かほ」もださねエ」なんて、ゆふぢゃないカナ。
英語の顔とゆふコトバも、FACE、と、ハ行の「F」があって「(F)あらはれて、(C)くる」と、よめる∃。」

謡曲の先生は男と同窓なのだが、空から滝がながれおちてくるのを見たようなめづらしい目つきで男をみる。
とっぴな話だときくほうが正しい。
「だんだんにひろがって行く心の声とみるハ行の感情は、希望をひろげて行く心でもあるとみるのサ。
中心からしだいに八方へとひらいて行く姿にもみえてネ。
木が一年一年ふとつて年輪をひろげるだろ。
元の形から、はなれて、去って、元の形とはかはる形に、刻々と移ってひらいて行く心の形なのだヨ。
流れる川ネ。
この「かは」とゆふ字に「(カ)迎へて行く、(ハ)元のところからしだいにはなれひろがり」とのイミをみたヨ。
木のかはも、人の皮膚も「(カ)迎へて行くハ()だんだんにひろがって」とゆふイミにみえたヨ。
ハヒフヘホHBPVF系統の声を、ひろがる心型のさけびとしてみたらネ。
英語の川のLIVERにも、Vがあってネ。
「(L)一方から他方へとV)だんだんにひろがツて(R)つながり」とつづってあるとみえた∃。

ここにきて謡曲の先生は、ようやく、ハハア、と、おほきく口をあけて、首をかしげた。
「僕は、芋ひろひをしたヨ。
拾ふとゆふ字には、手へンがあるから、漢字の拾ふは、手をつかふのかもしれないがネ。
ひらがなの「ひろふ」をみたら「(ヒ)そこから離して(ロ)他のほうへつないでやる(フ)行ひをあらはして行く」とゆふイミにもでてきてサ。

俺は彼をひろってやった、などは「彼を(ヒ)そのところからはなして、(ロ)つながりをつけて、(フ)やる行動をあらはしてやった」とする感情のつづりにもみえたんだナ。
「にほひ」とゆふコトバにもネ。「ひろげ、ふくれる、ハ行の声の字」をみたら「(ニ)なにやらが、(ホ)ふくらみ(ヒ)ひろがる」ありさまになってきて、なにやらとてもゆたかな感情が、コトバのつづりは、なってあるナ、と、おもふようになったヨ。

英語でも「にほひ」のことに、PERFUME、と、ハ行の声をいれてあってネ「(R)ふくらみ(P)ひろがるものの(M)うごめき」と。出してみられたのサ。

男は、お茶がつめたくなったのにきがついて口をつけてからも興奮してゐる。
「「くちびる」にも、ハ行のビがあるから、(ビ)ひろがる(ル)左右」らしいヨ。
英語の唇も、LIPと「P」があるから『(L)左右が(P)ひろがる」らしいネ。
「ゆび」もね。ハ行の「ビ」があるから『(ユ)集めるのに(ビ)ひろげる」らしいネ。

英語の指もFINGERと、ハ行の「F」があるから『(F)ひろげて
(N)それを中へ(G)受けて(R)やる」とみえて、やっぱり指は、ひろげる。らしいヨ。
「こぶし」もネ。
ハ行の「ブ」があるから「(フ)ふくれる(シ)状態」のものかナ。
「こぶし」の「コ」は「(コ)受ける形、貯への形」とみるがネ。
英語の拳も、FIST、と、ハ行の「F」があるから、ヤッパリ(F)ふくらみの(S)状態を(T)占める」かたちとよめたのサ。

背中と腹の、この「はら」も、ハ行の「ハ」があるから「ハ)ふくれる(ラー)左右」とよめるしサ、英語の腹も、ELLY、と、ハ行の「B」があって『(B)ふくれる(L)左右を(Y)抱へる」と感じたのかネ。
ひたひ(額)にも、ハ行の「ヒ」があるから「(ヒ)あらはれ(T)出て(ヒ)ひろがる」ところらしいナ。
英語の額もBROW、と、ハ行の「B」があるから「(B)あらはれて(R)左右が()ととのッてゐる」
と、ヤッパリ、額は、あらはれてみえるんぢゃないの力。」

こうなると男は、相手のゐない漫才をやってゐるようで一人舞台だ。
『君、君、恋もねェ。恋愛の「こひ」だヨ。
ハ行は、思ひをひろげる、希みをあらはしてひろがる心の声とみたからサ。
「こひ」はネ。「(コ)よび(ヒ)たい希ひをひろげて行く」のサ。
「(コ)迎へたい(ヒ)おもひをひろげて行く」とゆふつづりだヨ。
だから、恋心も「(コ)迎へたい(ヒ)想ひをどこまでもひろげてしまってネ」急に縮んでしまふ失恋のウラをもつわけサ。
英語も、LOVEと言ってサ。
やっぱりハ行のVがあるから「L)つながり(V)たい想ひをひろげる」らしいナ。』

男は、うまく理屈をつけ、うまくこじつけて、しゃべりまくる。
世のなかには、心をひらいてきく人と、まったく受けつけたくない人との、二通りが必ずゐることになってゐる。
どうせ専問をもたないのだから、やぶれかぶれでもいいとおもふ。

「こひ」にむすばれた謡曲の先生夫妻は、ここまでくるとすっかりうちとけたように晴ればれとしたわらひごゑをあげて「どこから、そんなことをおもひついたのかナ」と、関心のある問ひをなげる。
男は、夫妻にわらはれると、自分がバカになったのかとゆふ気持になる。
バカの「バも、ハ行の「ひろがツて行く、中心からはなれ去って行く」感情の声としたら「バカ)とは「(バ)普通のものから離れてゐるものを(カU)入れてゐる」となって「普通ではないナ」とゆふコトバになった。
英語も。バカを(FOOL)とあるから、これも「(F)あたりまへから離れて(L)反対のほうへ」行ってゐるゾ、とでてくるのだ。
だが、夫妻は「おまへの話はまちがってゐる」とも言ッてくれず、かへって、腹を波うたせて愉快なわらひごゑをあげた。
世間には不親切な人ばかりゐるように、男にはおもへてきて、フト、むなしい気がする。
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